どんどん橋、落ちた

あなたは違うんですの巻。

綾辻行人の変化球ミステリー短編集。
これは、メフィスト掲載分をリアルタイムで読んで悩んだものだったり。たしか「ぼうぼう森、燃えた」だったよな。
まあ、色々と肩の力の抜けたものも書いてる人だったけど、このオチはないだろうよ！と思ったものでした（笑）

今なら文庫だし良いかと思って、読み始めたんだけど、シリーズを通して読むとかなり印象が変わりますな。これは面白い。
劇中作のオチはずるいんだけど、U君との化かし合いみたいな部分が面白い。当時トホホと思った部分も、地の文で突っ込み入れてるし。
トータルでなんだか幻想文学みたいな感じも漂っていて、そこが綾辻作品ぽくていいなあ、と思ったり。

途中にはさまれている短編「フェラーリも見ていた」も、今読むと感慨深い。宇山さんは皆から慕われていたんだなぁ。このオチも、色々仮説を立ててみても、現実はこんなものよね的な感じで、ワイドショーなんかを見ている綾辻氏がうっすらと見えて楽しい。というか、ワイドショーでコメント求められても、無理だよというメッセージなのか！
しかし、「YAKATA」とかなつかしいな！

ラスト「意外な犯人」は、ドラマのプロットを流用した作品。これはシリーズのオチにもなってるけど、これは映像で見てみたかったなぁ。確かにびっくりしますよ！
東野圭吾氏「ある閉ざされた雪の山荘で」的な驚きですな。

こちらでは放送されていないのでドラマ「安楽椅子探偵」はDVDで揃えてるんだけど、「意外な犯人」以上のびっくりオチはまだないなぁ。こちらも推理が当たったことはないんだけどね。

うむ、やはり短編も面白いなあ。こういう感じでよいからコンスタントに作品を発表してくれるとうれしいんだけど。
暗黒館みたいに待たされるのは、もう勘弁ですよ（笑）

どんどん橋、落ちた (講談社文庫)