チームバチスタの栄光

あなたの名前の由来を教えてくださいの巻。

気にはなっていたものが、文庫で出たので読んでみたり。
ミステリーとしてはかなりオーソドックスな筋立てだけど、手術中とかいうトリッキーな舞台なのでこんがらがる感じですな。
古処氏の「unknown」とか 石持浅海氏の「月の扉」みたいな感じですか。

ただ、構成はよく考えられていて、医師である田口が聞き取り調査した前半と、役人である白鳥が出てきてからの後半で、がらっと登場人物たちの立ち位置が変わっていくのは面白い。
真面目に聞き取りしてた田口では引き出せないことを、一見、無茶苦茶な白鳥が明かしていくという、バディものにもなってるのですな。

作者が医師だからか、現状の日本の医療界の問題なんかも提起していて社会派な側面があるのも売れる要素なんでしょうな。ミステリ界は意外と閉じられてしまっているので、こういうのが受けるのはうれしいですよ。

犯人も、え!という感じではなく、納得できるのもうれしい。でも、もうちょっと意外な人物でも良かったかなぁ。そこが惜しい。

でも、全体的には良き感じのミステリでした。

あと、この薄さなら、一冊に纏めてくれた方がありがたかったかなぁ。分けた部分は納得いくんだけどね。

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)

チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600)

チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600)