記憶汚染

ウロボロスの波動を読んでから、林譲治フェアが自分の中で起こってるんで、購入。

歴史というのは、一部の人間が恣意的に作っていった物だ、っていうのは、今までもいろんな作品で書かれてるけれども、何千年も生きている種族のアーカイブと照らし合わせるッていうのは、斬新だったなぁ。個人認証が極端に進んで、便利なんだけど、それがなければなんにも出来ない、って言うデストピアな世界観がたまらない。でも、日本だとホームレスを見ないことにするくらいなのが、おかしくて悲しい…

ネットワークの普及やら、遺跡調査、何千年も生きた種族、進化したAI、個人用飛行機の発達、記憶チップによる痴呆症の治療、テロによる原発の破壊で、東西に分断された日本など、これでもかとSF的な要素が詰め込まれていて、しかもそれがみんな有機的に繋がっていくのが、もう気持ちいい。
構成的にも、全く接点のなかった男女が、一つの事件で交差するって言うのが、かなり盛り上がったり。

いやー、なんか久しぶりにSF魂が盛り上がってきたなぁ。

記憶汚染 (ハヤカワ文庫JA)

記憶汚染 (ハヤカワ文庫JA)