脳髄工場

小林泰三のホラー短編集。今回は、数ページで終わる物から、クトゥルー物まで、バラエティに富んでる一冊。

表題作の脳髄工場の主人公が、もの凄く青臭くて、若いってこうだよな、なんて思ってたら、もの凄く後味の悪いオチだ!さすが、世をすねた作品描かせたら天下一品の作者だけある! こういうの大好き。床屋で処理するのはスゲー厭だ!

他は、本田透氏に是非読んで欲しい「友達」が良かった。究極の脳内友達と、彼女を取り合う話だけど、オチが切ない。これは参った。

そして今回のお気に入り「C市」。謎の存在、クトゥルーと戦うための研究を、日本の「C市」ですることになったのだが、様々な派閥が対立し、ついには…
てな話。もう、これでもかといろんな要素を入れて、人類と旧き神々が戦うのかと思いきや、人間同士の争いがメインだったり、救いのないオチが待ってたりと、短編なのに盛りだくさん。こういうの、大好き。「デモンベイン」みたいなクトゥルー物も良いけど、やっぱり非道いオチな話がお気に入りだなあ。

脳髄工場 (角川ホラー文庫)

脳髄工場 (角川ホラー文庫)