強奪 箱根駅伝

箱根駅伝を人質にした犯人と、日本テレビプロデューサーやら神奈川大学の選手が対決するサスペンス小説。

これは、かなり面白い。小説として良くできているというのはもちろん、箱根駅伝を毎年見ている人には、色々ピンとくるシチュエーションが盛りだくさんに入っていてにやりとしたり。
途中、ブレーキを起こしてリタイアした選手とか、バイクカメラとか、提供のバックとか等々。

おまけに、箱根駅伝が終わるまでに犯人を見つけなくちゃいけないという、2日間のタイムリミットが設定されていたり。犯人を追いつつも、日テレのクルーは、中継もなりたたせなきゃいけなかったりと、それぞれのキャラに縛りがあってその中でベストを尽くすという展開が、かなり熱い!
それぞれの立場で、箱根駅伝というのにかける思いというのがひしひしと伝わってくる。犯人側もただ箱根駅伝を利用するだけじゃなく、そこを選択した愛憎なんかもあったりして、ただ、インパクトで小説にした訳じゃないところが、かなり良かった。

日本テレビをはじめ、出場大学などがみんな実名なのも気分が盛り上がったり。やっぱり、こういうのは違う名前だとちょっとね。
サスペンス部分が面白いのはもちろん、最後、駅伝のフィナーレ部分はちと泣いちゃったり… みんな、駅伝を愛しているんだなぁと、じんとしてしまいましたよ。

でも、実際の神奈川大学がトップ争いに参加するのはいつになるのかねえ…

強奪 箱根駅伝 (新潮文庫)

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