ユージニア

某サイトの書評を読んで、気になっていた物を借りて、読了。
ある大量毒殺事件をルポタージュした本「忘れられた祝祭」を元に、数年後、作者などに再び取材をしていき、事件が少しずつ分かっていくという、ややこしいくらいの入れ子構造の物語。といっても、かなり読みやすく、一気に最後までいってしまった。
これは面白い! 最初の方は、事件の輪郭はおぼろげにしか提供してないんだけど、色々な面から一つの事件を語っていくうちに読者も事件が分かっていくというのが、ルポライターの視点とシンクロしているようで、どきどきした。

最後は、一応事件の真相らしきものが分かるんだけど、それも本当はどうなのかが分からないような不安定で開いた状態で終わっていくのもよい。物語上でも、わざとぼかされている部分もあり、その辺りを、ふと考えてしまう。

しかし、お母さんはなにを祈っていたんだろうか。放火犯は誰なんだろう。

ユージニア

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